解読ガイド

MRI画像の読み方

MRIの仕組みをわかりやすい言葉で解説:T1・T2強調画像、FLAIR、DWI/ADC、造影剤、スライス断面、アーチファクト、および報告書の用語。

CT Read Editorial読了まで約 13 分公開日: 2026-05-05

Reviewed by a board-certified radiologist

MRI画像の読み方 medical imaging guide cover
Radiologist reviewing multiple MRI sequences on a diagnostic workstation
患者教育用の図解イメージであり、実際の患者の症例や診断ではありません。

お読みになる前に

このガイドは教育目的の解説であり、診断ではありません

このガイドは、放射線報告書をよりよく理解するための用語やパターンの解説です。最終的な判断や治療方針は必ず主治医や放射線医にご確認ください。

はじめに

MRI(磁気共鳴画像法)は、強い磁場と電波を用いて体内の詳細な断面像を作成する検査です。放射線被ばくがない代わりに、T1、T2、FLAIR、DWIなどの複数のシーケンスが存在するため、画像が複雑になります。各シーケンスが何を示しているかを理解することで、報告書の読解力が大幅に向上します。

MRIの読み方を学びたいときは、まず「色」ではなく「シーケンス」に着目してください。CTスキャンは組織の「密度」を測るのに対し、MRIは各シーケンスで強調される「組織の性質」を比較します。これが、T1、T2、FLAIR、DWIなどの画像間で同じ所見を比較することが重要な理由です。

MRI画像を見る前のポイント

  • MRI読影はシーケンスごとの特性に基づきます。 T1、T2、FLAIR、DWI、ADC、STIR、造影T1画像はそれぞれ異なる臨床的情報を提供します。
  • 異常所見は複数の断面で確認します。 アキシャル(横断面)、サジタル(矢状面)、コロナル(冠状面)で比較することで、アーチファクト(偽像)と本物の病変を見分けます。
  • MRI信号だけでは診断になりません。 T2高信号や拡散制限などのパターンは、患者の臨床症状と照らし合わせる必要があります。
  • 最も重要な結論は「Impression(インプレッション:要約・診断意図)」に記載されます。 詳細文を読んだ後、インプレッションで最も重要な要点を確認します。

1. T1強調 vs T2強調 —— クイック早見表

MRI検査で最も基本となる2つのシーケンスです:

  • T1強調画像(T1-weighted): 水や液体(髄液など)が暗く(黒く)写り、脂肪が明るく(白く)写ります。構造の確認に適しています。
  • T2強調画像(T2-weighted): 水や液体が明るく(白く)写り、脂肪がやや暗く写ります。炎症、水腫、多くの腫瘍(水分を多く含むため)の検出に最適です。

見分け方のコツ:ある領域が T2で白く(高信号)、T1で黒く(低信号) 写っている場合、それは水分の多い病変(嚢胞や浮腫など)である可能性が高いです。逆に T1で白く、T2で黒い 場合は、脂肪や古い出血が疑われます。

2. その他の主要シーケンス

  • FLAIR(フレア) —— T2強調に似ていますが、脳脊液(自由水)の信号のみを黒く抑制します。脳の白質に生じた多発性硬化症(MS)などの病変が白く浮かび上がります。
  • DWI/ADC(拡散強調) —— 水分子の拡散のしやすさを画像化します。急性期脳梗塞や膿瘍の診断において、水の動きの制限(拡散制限)を白く明瞭に描出します。
  • STIR(エスティアイアール) —— 脂肪信号を抑制するシーケンスです。骨髄の浮腫や細かな骨折の検出に非常に有効です。
  • 造影T1(ガドリニウム使用) —— 血管が豊富な腫瘍や、活動性の炎症、血液脳関門の破綻部位を白く強調表示します。

3. 3つの断面で観察する:アキシャル、サジタル、コロナル

CT同様、MRIもアキシャル、サジタル、コロナルの3方向の断面で再構成されます。ある断面で異常に見えても、他の断面で確認できなければ一時的なノイズ(偽像)である可能性があります。

4. 「造影剤で増強(エンハンスメント)」の意味

ガドリニウム造影剤は、血管構造が異常な部位に集積しやすく、そこが白く強調(エンハンス)されます。例えば「リング状増強(膿瘍や一部の腫瘍など)」や「均一な強い増強」などの表現が用いられます。増強効果がないことが、特定の病変を否定する材料になります。

5. 系統的な読影ステップ

  1. 患者情報、撮影部位、検査日を確認します。
  2. 使用されたシーケンス(T1、T2、FLAIR、DWI、T1+Gdなど)を特定します。
  3. 疑わしい病変の領域について、シーケンス間および断面間で信号の違いを比較します。
  4. 報告書の最後に記載されている「Impression(インプレッション)」を読み、臨床的な意義を確認します。

次のステップ

特定の部位については、当サイトの 脳MRI膝MRI、または 腰椎MRI ガイドをご覧ください。また、当サイトの AI MRI分析ツール に直接画像をアップロードすることも可能です。

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